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 No. 561 エントリー 2008/01/01(火) 02:27:38

[論点 16] ものを大事に使うということ この記事をはてなブックマークに登録 この記事を livedoor クリップに登録 この記事の livedoor クリップ数

新年おめでとうございます。

さて、2008年最初のエントリーはちょっと真面目にいきたいと思います。
最初のテーマは「自転車のパンクからみた産業」です。

この話は、私が自転車のパンクを直しに自転車屋さんへ出かけたときに、実際にあったエピソードをもとにしています。面白い話ができればと思っています。

(続きはこちら)




自転車がパンクしたので、近所の自転車屋さんに行ってきました。私は自転車好き(サイクリングも趣味です。バイクも好きだけど。)ですし、「いいものを長く使うこと」を信条としていますので、そこの自転車屋さんにお世話になっていました。

そこの自転車屋さんも、店主が昔、自転車レース関係の仕事をしていましたので、自転車に対する愛着が強く、その情熱もひとしおでした。そんな店主だからこそ、私も店主の人柄にひかれていました。

まあ、とはいっても、時代が時代ですし、店主ももう高齢となってしまったので、今している仕事というのは、ママチャリのパンクを直すことがメインだそうです。もちろん、その仕事も重要なことですが、どこか寂しげな雰囲気があるのは否定できませんね。


さて、それはともかく、パンクを直してもらっている間、店主と話す機会がありました。そこで面白い話を聞くことができたので、ここに書いてみたいと思います。
※個人店主のエピソードをもとにしていますので、いくらか真実とは異なることもあるかもしれません。ただ、具体的に自転車業を生業とする人が感じていることを知るという点では有益であるかと思います。

パンクを直してもらっている間に、私はちょっと疑問に思ったことを聞いてみました。
「自転車のタイヤというのはどこのメーカーが最大手なんでしょうね。」

私は、てっきりYOKOHAMAタイヤとか、BRIDGESTONEかなんかがくると思っていたのですが、全く違う返答が来たので驚いてしまいました。

「自転車のタイヤには大手はないよ。強いて言うなら、Panasonicかな。」

つまりはこうです。
もちろん、昔は国内のメーカーもたくさん自転車のタイヤを作っていました。
しかし、90年代の工場海外移転の流れにより、いろいろな企業が海外へと進出しましたが、結局は失敗したところが多かったそうです。海外進出ブームの初期の頃に海外へ進出した企業の中にはそこそこ成功したところもあるそうですが、結局は、安い中国製のタイヤに押されてしまったとのことです。

まあ、原因は他にもいろいろあるでしょうが、その店主が言うには、多くの企業が進出した中国に問題があったと仰っていました。つまり、インド市場の需要を狙ってスリランカに進出した企業や、成長の激しいベトナムに進出した企業なんかはそれなりに上手くいっているようですが、中国に進出した企業は失敗した事例が多かったとのことです。

店主は「それは国民性の問題だろうが」と前置きした上で、中国で作ったものは、製品の品質があまりよくないようです。それは、別に中国の生産能力が低いという話ではなく、工場で「手抜き」をしているように見受けられるからだと仰っていました。
※全部が全部そうだとは決して思いませんが、逆にそういう現実があることも否定することができないようにも思えます

そうすると、製品としてそれが致命的になる事例もあり、例えば、空気入れ(ポンプ)がそのいい例で、中国で全部作るとどうしてもチューブの品質がよくないため、チューブだけを国内で作り、それを中国に送って、それを完成させたのち、また日本に逆輸入しなければならず、輸送費が高くつき、まったく商売にならなかったそうです。

※ここら辺の話は、最近読んだ本「中国に人民元はない」とリンクするところがあって、非常に興味深かったです。本書の「中国に公私混同はない」という章です。

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田代 秀敏


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それで、このようになってしまった一番の原因は、(もちろん、現在では中国は「世界の工場」なのですから、その品質向上に努めてもらいたいというのはあるのですが)品質の高さより安いものを受け入れてしまった日本人の態度にあると店主は言います。

つまり、店主が長年、仕事をしていて感じたのは、そういう製品が多くなった初めの頃というのは、消費者の多くがクレームというか、文句をいいに来ていて、一種の自浄作用が働いていおり、品質の高い、国内メーカーのものが売れていたのですが、時代の流れとともに、日本では、自転車は安いことに重きが置かれ、半ば使い捨てのように扱われるようになってしまい、そういうことにもあまり気を遣わなくなってしまったため、この業界がうまく回らなくなってしまったと嘆いていました。

というわけで、国内のメーカーが自転車のタイヤの分野から撤退してしまったというわけです。

また、店主はオランダを引き合いに出し、オランダでは(自転車に関し)いいものを修理して長く使うという風土があり(まあ、オランダとか、ヨーロッパでは自転車はスポーツとして、かなり人気がありますから、そういう事情も関係しているとは思いますが)、自転車自体の値段もだいたい7万円前後するのでそういうことは起きないと仰っていました。もちろん、日本みたいにすぐに捨てずにいいものを長く使うので、長い目で見れば結局はそれは安上がりなのはいうまでもありません。

店主は、日本は環境先進国であり、環境問題が盛んに叫ばれている現在、このような業界の流れ(いいものを長く使うという発想に乏しい現状)は業界に関係なく非常に寂しいものがあると仰っていました。

私はこの話を聞いて、非常に感慨深く感じました。
我が身を振り返れば、そういう私も、結構、ものをぞんざいに扱っていることがありますし、まだ使えるのに捨ててしまうこともあります。

このエピソードを受けて、改めて考えさせられた思いです。
さて、みなさんはどうお感じになったでしょうか。


おまけ

ちなみに、Panasonicが多くタイヤを作っているのは、MTBやPAS(電動自転車)を多く作っているからだそうです。



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