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 No. 607 エントリー 2008/02/12(火) 21:49:17

[論点 17] 一握りの成功者が「頑張れば夢はかなう」というのは傲慢だ この記事をはてなブックマークに登録 この記事を livedoor クリップに登録 この記事の livedoor クリップ数

という記事があったので、これについて考えてみたいと思います。

結論は、「半分正しい」ということだと思います。

(続きはこちら)




□元ネタ:痛いニュース(ノ∀`):【論説】「頑張れば夢はかなう」は幻想、成功者の傲慢だ。そんなにうまくいかないのが普通。「可能性のよき断念」こそ必要ではないか…脚本家・山田太一氏

ここで私の意見を述べてもあまり面白くないので、ちょとこれを簡単な「論理学」っぽく考えてみます。
とはいっても、そんなに難しい話ではなくて、論理学の専門家ではない私がするくらいですから、そんなにややこしい話ではないかと思います。


まず、「命題」の設定からです。

ここでは、こういう感じで命題を設定してみます。

命題 P:「夢が叶う」
命題 Q:「努力をする」


ここで、P⇒Q(PならばQ)は、
「夢が叶うならば、努力をしている」ということになります。

また、同時に、この「逆」と「裏」、「対偶」についても考えてみます。
※記号「¬」は「否定」という意味です

逆: Q⇒P  :努力をしているならば、夢が叶う
裏: ¬P⇒¬Q:夢が叶わないならば、努力をしていない
対偶:¬Q⇒¬P:努力をしていないならば、夢は叶わない


さて、ここで、一番重要な問題は、最初の命題(P⇒Q)が正しいかどうかです。
この命題が正しくなければ、すべての論理が破綻してしまいます。

しかし、「夢が叶うならば、努力をしている」というのは、ひとつの真理であろうかと私は考えています。エジソンも、アインシュタインも、夢が叶った成功者ですが、彼らは、(天才ですが)一概に努力をしています。ですから、みなさんもこの命題が正しいということは賛同していただけるかと思います。
※宝くじが当たったとか、そういう偶然性のあることは夢の中に含めていません。あくまでも、努力した結果得られるものを想定しています。

まあ、この「夢」とか「努力」という言葉自体も曖昧さが強く、もっと厳密に定義しなければ、命題としてふさわしくないのでしょうけども、ここで深く考えるのも何ですし、またその定義だけでいろいろと意見が衝突するでしょうから、むしろ、このくらいの曖昧さがあった方がいいといえるかもしれません。

さて、それでは話が先に進まないので、仮にそれが正しいとした場合について考えみたいと思います。

実は、この論理式のこの「逆」と「裏」は必ずしも正しくないことが証明されています。その証明は単純で、反証をあげればいいだけですね。

例えば、「ソクラテスは人である」といった命題がある場合、

逆:人であるならば、ソクラテスである
裏:ソクラテスでないならば、人ではない


というのはどう考えてもおかしいですよね。突っ込みどころ満載ですよね。
これが正しいのはひとつの場合、ソクラテスさんのことについて考えたときのみです。要するに、「逆」も「裏」も、必ずしも正しいというわけではないということです。

他方、その対偶は、必ず正しいことも証明されています。
(この証明は結構煩雑ですので、ここでは省きますが、ちゃんと証明されています)

つまり、

対偶:人でないのなら、ソクラテスではない


となり、もちろん、ソクラテスさんは人間ですので、これは常に正しいということがいえます。

これを先ほどの命題に適用すると、つまり、

逆:努力をしているならば、夢が叶う
裏:夢が叶わないならば、努力をしていない


というのは、必ずしも正しくはないということになります。
※言うまでもありませんが、対偶「努力をしていないならば、夢は叶わない」は常に正しいです

要するに、人というのは、「努力をしていても必ず夢が叶う」というわけでもなく、「夢が叶わないからと言って、必ずしも努力をしていない」ということもないというわけです。
(もちろん、「逆」も「裏」も正しい場合があります。それはすなわち、「成功者」の場合というわけですね。)

従って、最初の命題が正しいとするならば、この議論の帰結(「頑張れば夢はかなう」ということはない)は至極当たり前の話であって、それ以下でもそれ以上のことでもないというわけです。

そもそも、だいたい、成功者に価値があるのは、その数が少ないからであるというのは当たり前の話であって、いちいち、経済学を持ち出して説明するまでもないですよね。
つまり、もし、仮に成功者が多ければ、需要と供給の関係から、その価値が下がってしまいますので、成功者を賛美するに値しなくなります。

ですから、成功者というのは、ごく一部であることが当然であって、努力したから皆が皆なれるというわけでもないのです。ですから、以上のことを踏まえれば、「頑張れば何でもできる」というのは嘘であるといわざるを得ません。


では、なぜ多くの場所でそんなことが言われるのでしょうか。
それは、私が考えるに、失敗することがあっても、リスクを冒すことになっても、成功を目指して努力することに価値があると考えているからではないでしょうか。成功を目指さなければならない環境に置かれているからではないでしょうか。

実は、私たちは、いつも、何も保障のない、危険なデスゲームの上で戦っているわけで、そこで負けたからと言って不満をいってもしょうがないという現実があります。
そして、確かに、戦うことは辛いことです。また、人間というのは、実現できないと考えるとやる気をなくします。
ですから、もしかすると、人はその人が諦めないように、騙し騙し、「努力すれば〜」と励ましているのかもしれませんね。

それが、明らかに嘘であると知っていても。

そう考えると、先ほどの話の中で、傲慢というのはちょっと言い過ぎで、確かにそういう面もあるかもしれませんが、成功者が、私たちを励ましているという部分もあるといえるのではないでしょうか。


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