□壇弁護士の事務室: 横浜市墓地条例とGSV
□高木浩光@自宅の日記 - 日弁連はストリートビュー問題に対して何か行動しないの?
これら一連の記事を読んで、「なんか方向性が違うよね」と思ったので、記事にすることにした。
Googleのストリートビュー問題は、それを嫌う人(私も含む)の意思、思惑とは異なり、何も解決されないまま、なし崩し的に既成事実となることになることは間違いないと私は思っている。
以下その点につき、説明したいと思う。
(続きはこちら)
まずはじめに、経緯は分からないが、この問題に関し、MIAUがシンポジウムを開いていたので、その紹介をする。
※ニコニコ動画にて動画がアップロードされているが、マイリストがなかったので、リンクをすべて貼ることにした
□【ニコニコ動画】MIAU Googleストリートビュー“問題”を考える 1/14
□【ニコニコ動画】MIAU Googleストリートビュー“問題”を考える 2/14
□【ニコニコ動画】MIAU Googleストリートビュー“問題”を考える 3/14
□【ニコニコ動画】MIAU Googleストリートビュー“問題”を考える 4/14
□【ニコニコ動画】MIAU Googleストリートビュー“問題”を考える 5/14
□【ニコニコ動画】MIAU Googleストリートビュー“問題”を考える 6/14
□【ニコニコ動画】MIAU Googleストリートビュー“問題”を考える 7/14
□【ニコニコ動画】MIAU Googleストリートビュー“問題”を考える 8/14
□【ニコニコ動画】MIAU Googleストリートビュー“問題”を考える 9/14
□【ニコニコ動画】MIAU Googleストリートビュー“問題”を考える 10/14
□【ニコニコ動画】MIAU Googleストリートビュー“問題”を考える 11/14
□【ニコニコ動画】MIAU Googleストリートビュー“問題”を考える 12/14
□【ニコニコ動画】MIAU Googleストリートビュー“問題”を考える 13/14
□【ニコニコ動画】MIAU Googleストリートビュー“問題”を考える 14/14
ここでの議論も、私は「何かが違う」と感じた。
その理由は簡単で、もし仮に法的にどうこうという話をするならば、現段階ではかなりの確実でGoogleが勝つと思われるからである。だから、法的な話をしても効果は薄い。
例えば、プライバシー権がどうのこうのという話があるが、どういう訴訟形態で提起するにしろ、裁判所はおそらく原告の主張を認めないであろう。その理由は簡単で、それを想定した根拠法がないこと、Googleに特定の意図が見受けられないこと、裁判官にGoogleの真の意図を量ることを期待できないことなどから、この件についての裁判所の判断は恐らく否定的なものとなるからである。
そのことをもっと大雑把に言うことが許されるならば、よく知られているように、(本事例とは直接には関係ないが)京都市公安条例違反デモ事件や、ワールド興行事件などの裁判所の態度からすれば、今回の事例は「多分、無理だろうな」ということが直感的に分かるというわけである。
要するに、この種の問題は、新しすぎて法的には対応できないということだと思う。
そして、その現状を無視して、法に訴えてもきっと思うようには問題は解決しないだろう。
もちろん、そういう判例を積み重ねることは重要だと思うし、そういう行動は非常に重要であるとも思う。だが、私がいいたいのは、そういうなかで次の2点における視点が欠けている点が非常に気になるということである。その点について言及しておきたい。
(1)Googleなんて日本ではあまり知られていないし、ましてやストリートビューなんて利用者が少ない
日本のネット事情は世界と比べかなり異質である。検索エンジンとしては、Yahoo!Japanが圧倒的なシェアを占めている点に日本独特の特徴がある。日本人でGoogleを使う人は、(ネット全体から見れば)やはり、ギークなのである。そして、日本のデジタルデバイド (Digital Divide)
問題は思っているより深刻であったりする。
※Ref.ケータイ世代等の議論
だから、この問題に多数が関心を示さないであろう。そして、それが既成事実化していく。
多くの人が問題意識を持たなければ、法は変わらないのであるが、その多くの人が知らないのだから話にならない。だから、そもそも最初から勝負にもなっていない。
これが問題化するのはストリートビューのサービスが開始されてから何年もたってからでしたというオチが最初から見えすぎて困る。
関連記事:Google マップ ストリートビューは凄すぎて危険だ
(2)Googleの目指しているものは「Google帝国」である
こう書くと、うさんくささが出てしまうが(笑)、事実そうなのだから仕方がない。
まず、ネットは現在、共有化の方向にある。もともと、ネット文化というのはGNU的発想が基礎にあるのだからそれは分かりやすい流れでもある。
ただ、それに、人間がついて行っていないという現状がある。特に、現実社会の常識から抜け出せていない人も多いのでそこでトラブルも生じたりする。
関連記事:ネットサービスの共有化とプライバシーについて -Picasa問題を通じて
そして、共有化とともに、特に、Googleが目指しているのは「情報の一元的支配」である。Googleにとってそれが一番の目的であって、プライバシーとかは実はあまり興味がないというのが私の意見である。
関連記事:「Google DesktopやGmaiを使っている奴らがプライバシーとか(笑)」というネタの適当な解説
関連記事:Googleが目指しているものとは何か
Googleが握りたいのは、「すべての有益な情報」であって、プライバシーとかいうのは、その目的を邪魔する障害としかGoogleは考えていない。
※この点については以前書いたので割愛する
そして、その文脈で理解すると、Googleの一連の動きもその意図がよく分かる。
そういう意味では、今回は、そのひとつがたまたまストリートビューだったというだけの話なのである。
今回の一連の議論にはその視点が欠如しているように思われる。
本国、アメリカなどでは、そういうことに危機意識を持っている人がかなりいて、また法意識というか、権利意識が強いので、なかなか思うようにいっていないようだが、日本ではそういう人は少ないのでGoogleとしてはやりやすいであろう。だから、そのままGoogleの思い通りにことが進行するだろう。客観的に見ればそうである。
そして、この問題はそれに反対する人の思惑とは別に既成事実化して終わってしまう。
その結論だけは先に見えてしょうがない。しかも、その蓋然性が高いからどうしようもない。
個人的には、Googleの意図する本当の目的は我々にとって非常に危険であると私は思っているのだけれども、それを主張する人が少ないのではどうしようもないとしかいえない。
この問題の深刻さは、ストリートビューなんかにあるのではなく、むしろここにあるのだと私は考えているのである。
※少なくとも、現状として、ネットにおける最も重要な主要要素である「検索エンジン」と「広告」をGoogleに握られているのであるけれども、それについて多くは何も感じないのであろうか…
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