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 No. 881 エントリー 2009/01/05(月) 22:59:20

[論点 47] アルファブロガーは万能だという迷信 この記事をはてなブックマークに登録

人権という迷信 - 池田信夫 blog

池田先生のこの記事を読んでつくづくそうなんだなあと思いました。何というか、こういうのはある種「構造的に」悲劇的ですよね。
「アルファブロガーは万能だ」という「迷信」が、自他共に、「それらしく」「まるでそうであるかのように」信じられているためこうなってしまうんでしょうね。

なんというか、「まるでそうであるかのように」振る舞わなくてはならないところが悲劇的ですね。以下、その点について説明します。

(続きはこちら)




1.畑違いのことに言及せざるを得ないという構造的悲劇

リンク先のエントリーの内容は、はっきり言ってよく分かりません。私は、読んでいて途中で、これ以上深く考えるのをよそうと思いました。そんなことをしても、全く意味がないからです。小難しい言葉を使って、ああだこうだと書いてありますが、言っていることはめちゃくちゃで、それでいて内容がないからです。
※言いたいことは何となく分かるけどね

言葉を選ばずに、乱暴に言うことが許されるのならば、その最大の原因は、「自分の専門外のことで、そのことがよく分かっていないので、小難しいことを言って誤魔化さざるを得なかったからだ」ということができると思います。つまり、知識が不足しているということですね。

ここで誤解して欲しくないのですが、別に、池田信夫先生を批判しているというわけではないです。池田信夫先生はとても賢明な方だと思いますし、私は尊敬もしています。
しかし、自分の専門外である「法学」のことまで完璧に分かっている完全な人間ではないのは事実だと思います。自分の専門外のことまで完璧に分かっているそんな人間なんて存在しないのですからね。

だから、これを批判すると言うことは、ある意味、間違っていると思うのです。経済学についてならまだしも、畑違いの「法学」についてですからね。でも、そのように振る舞わなければならないと言うことがアルファブロガーの構造的に不幸な部分なのではないかなと思います。


2.私がおかしいと思った点

(1)根拠のない迷信?

まあ、こんな感じで抽象的に話してもぴんと来ないですから、少しだけこの意見を批評してみたいと思います。
まず、概略ですが、これを読むと法学を学んだことのある人なら、これを一読しただけで「?」となります。

例えば、こんな記述があります。

「基本的人権」を信じる人にとっては、人権を売買するというのは許しがたい発想だろうが、そんな不可侵の重大な権利が「生まれながらに万人に等しく与えられている」というのは、根拠のない迷信である。そもそもこれは事実の記述なのか価値判断なのかも不明だ。


「基本的人権」をどういう意味で使っているのか、あるいは、使おうとしているのかいささか定義が不明ですが、これを法的意味でとらえるとするならば、「迷信」ではないですね。いうならば「擬制(フィクション)」です。そして、これは法的価値観です。

誤解を恐れずに大雑把にいえば、古代、中世と人間は平等ではなかったわけで、それが市民によって覆されたのが「市民革命」でした。そして、「市民」たちは、封建制に戻らないように、また、それを否定するために、政治権力の中枢にあった「市民」たちが、(事実がどうだか分からないけど)みんなで「人間は平等だ」ということにしようとしたわけです。そして、それを担保したのが「法」でした。
※これにはキリスト教的価値観があったといわれていますね

ですから、「迷信だ」という以前に、そもそもそれは「擬制(フィクション)」なのです。
だから、「擬制(フィクション)」を「迷信だ」といっても、そんなことは分かり切っていることで、そこを議論しても意味がないわけです。むしろ、その「擬制(フィクション)」の上に、どういう社会を築いていくのかが、我々の命題なのですから。


(2)政府が基本的人権を賦与している?

そして、こう続きます。

事実としては人が遺伝的に人権を持って生まれてこないことは明らかなので、これは「政府が人々に人権を与えるべきだ」という価値判断だろう。しかし生まれた瞬間に、すべての人に同じ権利を政府が賦与すべきだという根拠はどこにあるのだろうか。


まあ、強いて根拠はどこかというと、それをいうなら、エドマンド・バークのようなマニアックな人よりも先に、まずトマス・ホッブズ(Thomas Hobbes)を挙げるべきでしょうね。有名なリヴァイアサンですね。ホッブズは人間は何もない自然状態だと闘争状態になってしまうので(有名な「万人の万人に対する闘争」ですね)、みんなが権利の一部を放棄して、その権利を委譲して、政府を作って平和な状態を作り出そうとしたわけでした。

みんながおのおのそういう契約をすることによって、国家というものができるわけで、それが「社会契約」と呼ばれました。そして、それがロックやモンテスキューなどによって、深化されていって、近代国家観ができあがっていくわけですが、そういう視点から見ると、法が「すべての人に同じ権利を政府が賦与すべきだという根拠」はどこかといわれると、その契約にあるといえると思います。
みんなでそういう約束(契約)をしたからそうなのだというわけです。

しかも、人権をまるで「上から与えられる」もの(政府から与えられるもの)かのように捉えるところが古風ですね。まるで、大正デモクラシーのはじまる前の人のようですね。もちろん、もし仮に「自然権」という言葉を使うのならば、それは人間が「法的に与えられるより前に」与えられている権利であって、政府から与えられるものではないですね。
そうでなくとも、それはみんなの約束事から導かれるものであって、政府という統治体から賦与されるものではないのです。


(3)生まれながらに万人に等しく与えられていない?

まあ、その後の論説は「本筋的には」そうおかしいところはないですよね。

「生まれながらに万人に等しく与えられている」というのは、先ほど述べたようにフィクションなので、現実と乖離しています。そんなことは分かり切ったことです。
そして、それを埋めるべく、法律(法学)が発達しているわけですが、フィクションであるがためにいろいろと齟齬をきたしているのは事実です。

でも、それを(法的に)改善するのが法学者のお仕事であって、経済学者のお仕事とはちょっと違いますね。その法学者のお仕事を「そんなのはフィクションだから全部否定すべきだ」といわれると、非常に困ります。法学者は何のために今まで頑張ってきたのか、分からなくなってしまいますよね(笑)。経済学が法学より優位するならば話は別ですけど。

しかしながら、現実と乖離しているという点は事実かと思います。
※そして、それが基本的人権から派出した権利、つまり、「社会権」として発展していくのでしたね。


(4)その後の論説

まあ、その後の論説は、これまた難解で意味が分からない。
特に、法学畑の人にとっては、全くもって意味が分からない。分かることといえば、知っている単語を意味を分からずに混合して使っているなということぐらいですね。

まず、所有権と労働基本権、著作権に代表される財産権は、基本的人権といっても、性質がとても異なるので同一に扱えない。それをミックスして話が終わらないうちに話が進んでいるから余計に分からない。

確かに「契約の自由」は民法に代表される私法の大原則ですが、先ほどまで話していた「基本的人権」は憲法学の話ですよ?まあ、別にいいですけど。

まず、基本的人権としての「所有権の絶対不可侵」からいうと、これは全くの無制約ではなくて一定限度で制約されることはよく知られています。道路とか作られるときに「土地収用法」で、勝手に土地を買い上げられるとかそういった例が挙げられますね。だから、絶対ではないわけです。

しかも、所有権があるから何でも自分勝手に使用・収益できるかというと、じつはそうでもない。結構、制約があります。例えば、身近な例でいうと、原発をその土地に作るのは所有権の絶対性からいえば勝手にやってもいいことになりますが、そうではないことはみなさんニュースなどでよく知るところですね。
つまり、所有権は基本的には勝手に自由に使っていいのですけど、そうすると困る場合があるから、今まで法律で規制してきたわけです。それを「所有権があるから何をしてもいいんだ」というのはいただけない。それではみんな困るわけです。
それは今までの法律の積み重ねを否定することであって、それは退化ですね。


あと、雇用契約のことも言っていますけど、労働法ってどうやってできてきたんでしたっけ。世の中は力は平等ではないから、強者が弱者をいいなりにすることが多かったからではなかったでしょうか。
「一日18時間も重労働をさせて低賃金。それが嫌なら辞めれば?」ということが平気で行われてきたから、だんだんと法律で規制しようということになったのですね。
※蟹工船の世界ですね

だから、「どういう雇用契約を結ぼうが自由だ」というのは、なんというか、暴論でしかない。
※そんなことは、社会権と自由権の緊張関係という論題ではるか昔から言い尽くされてきた議論であったりもします。

それでは、昔の時代にまた退化してしまうのです。まあ、経済学から見ればどうなのかは知りませんが、ことに法学の面からいえば(これは法律の話でしょうから)、それは全くもってナンセンスということになります。
※しかも、それは基本的人権とは直接に関係ない。まあ、労働三権を否定したいという意図なら関係しますけど、それをいっているのかな?すると、極端な新自由主義者だよね

多分、いいたいことは、法律の規制を緩やかに解してもっと規制緩和すべきだということ「だけ」なんでしょうけど、それを基本的人権から掘り起こすから粗が出てしまうのではないかなと思ったりもします。

※極論を展開するのは、それはそれで議論としてとっても面白いのですけど、もしこの程度の常識的なことを、知っていてあえて書いたのだとしたらそれはそれでいささか品に欠けるという意見も分からないではないですよね


3.最後に

そんな感じで全体を見てみると、壮大な釣り糸が見えてきますね。

でも、それはそれでいいのです。
だって、アルファブロガーだって人間ですから。

自分の立場から自分の言いたいことを言えばいいのです。

ただ、私がいいたかったのは、不幸なことに、「アルファブロガーは万能だ」という迷信があるため、必要以上に非難されてしまうのではないかということです。
専門外のことは誰だって知らないものです。そこをつっこむのは野暮というものですね。

でも、もし知っていたのだとしたら、それはそれで、いささか根拠の薄い「飛ばし記事」を書きすぎたというきらいがありますね。しかし、アルファブロガーだからといって飛ばし記事を書いてはいけないということもないのです。

アルファブロガーは万能ではないのですから、たまには羽目を外すことだってあるのかもしれませんよね。

私たちも、そろそろ「アルファブロガーは万能だ」という迷信から目を覚まさないといけない時期なのかもしれませんね。

というわけで、今回は非常に長文となってしまいましたが、以上です。

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コメント

私もアルファブロガーになりたい。(笑

アルファブロガーが万能というか迷信というか、そもそも読者は「アルファブロガー」の意味を知らないような気がします。
[アルファブロガー = すごい人]という勝手なイメージ(ある意味間違っていないけど)と、今回のような小難しい言葉を乱用するような記事を書くブロガーによって読者のイメージは[アルファブロガー = すごい人 = なんでもできる人]となっているのかもしれません。

でも小難しい記事を書くブロガーは、私の憧れだったりするんですよね。

  • 2009/01/06(火) 09:29:51 |
  • URL |
  • Taichi #zyOCOyjA
  • [ 編集]

どこの記事で読んだか忘れたけど、(海外でも)いろいろとアルファブロガーは大変らしいですよ。
日々、何か面白いブログを書かなくてはという強迫観念に悩まされ続け、そして、それが重度となると、ほとんど病気に近くなってしまう人もいるらしいです。

何事も最前線の人というのは、それなりの苦労があるものですね。
ということで、いろいろとあると思いますが、もしアルファブロガーに憧れているのでしたらそんなことにもめげずに頑張ってみてくださいね。私も応援しますよ(とはいっても、これといって何も力となれませんが)。

  • 2009/01/07(水) 20:41:54 |
  • URL |
  • Xenophias #J7Ti0pLo
  • [ 編集]
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